形だけのアンケートは迷惑

顧客の動向などを知るためにアンケートを用いることはよくある。先日入ったファミリーレストランでもテーブル席にアンケート用紙があって、帰りがけに提出して欲しいといった旨のことが書かれていた。それは良いのだが、質問が通り一遍のもので終わっていて、アンケートを使って何が知りたいのか分からない。しかも、そのファミレスは私がここ数か月何度か仕事で使っているところなのだが、いつも同じアンケート用紙が置いてある。ひょっとして時系列的な変化を見ているのかとも思ったりもするが、どうもそうでもなさそうだ。これでは、顧客にわざわざアンケートを取る意味がまったく分からない。

アンケートを作る際、まず押さえるべき基本は大体以下の5つとされる。
まず最も大切なのは目的をしっかり持つことだ。誰が対象で、何のために(今後の販売促進活動を効果的に行うためであったり、新規出店や商品開発のヒントを得るためなど)、何故行うのか(仮説を確認するため、一般的な傾向を知るため、意外性の発見など)。この目的によって、アンケートの手段や内容が変わってくる。

目的が決まったら、次に手段の検討に入る。目的に最も合った手段を選び、それにかかるコストや時間を検討しなければならない。小売業の一般的な手段である来店であれば、アンケートはどれだけ集めるのか、そのためにアンケート用紙は何枚必要で、筆記具はどうするのか、調査員は何人で何時間かけるのか、回収時の御礼の景品やクーポンのコストをどうするのかなどを想定する必要がある。

アンケート作成前に目的、手段をしっかり押さえる

手段は店頭で行う以外にも、訪問によって行うもの(1対1で詳細なことを聞ける半面、コストがかかる)、電話によるもの(非協力的になりやすい、対応マナーが重要になる、そのための教育コストも場合によってはかかる)、インターネットによるもの(低コストで大量の相手が対象可能、インターネットの使用層に限定される)、郵便(一度に大量の相手が対象可能、コストと回収に時間がかかり、回収率も低い)といったところがある。

目的、手段が決まったらいよいよ内容だ。もちろん、内容は目的に沿ったものでなければならない。実際に内容を作る前に過去の類似調査で行ったアンケートなどの調査物など参考になるものを探す。そして、検討会などを実施し、その結果を質問の設定に反映させる。その質問内容の作成には、例えば、まずキーワードを作り、聞きたい項目を分類分けして、それらの関連性を検討していかねばならない。いろいろな意見があるが、私は一つのアンケートにいくつも目的を持たせると、内容も複雑になって回答者を混乱させることにつながるので、基本的に目的は一つ、内容もできるだけ分かりやすくした方が、次の回収率にも影響してくると考えている。

質問内容は順番を考えて

その回収率にも関わることとしては、そのほかに一般的なものや答えやすい質問を最初にもってくるといったように質問の順番を考える、専門用語やカタカナの用語、略語はできるだけ避ける、一つの質問で複数を聞かないなどが内容的に大切なところだ。

正確な情報を集めてよりよい分析をするためには、アンケートの手段によってそれに合った工夫をすることで回収率を上げることも欠かせない。
実際に回答者と合ってアンケートをする場合は、質問者の印象を良くすることが欠かせない。例えば、話し方、笑顔、マナーは最低必要だ。そのためにアンケート回収者には事前の教育が必要だろう。それに腕章や身分証を提示するなど、社として相応しい服装を用意することもできればより効果は増す。

その他、アンケートへの興味を引くために、聴覚(放送による協力のお願い、BGMなど)、周囲に視覚(看板、絵、デザインによる協力のお願い)、アンケート協力者への御礼の景品を用意する方法もある。
また、インターネットや郵送を使う場合などは、アンケートの事前通知や、タイミングを見て適切な督促を行うことも必要かもしれない。

曖昧さをなくす

そして最後になったが、分析の精度を上げる工夫にも注意しなければならない。

例えば、「ここにはよく来ますか?」「1回でどれくらいお金を使いますか?」などのような、曖昧さは避けなければならない。「よく」というのはどの程度なのか。人に拠れば1週間に1回を想定するかもしれないし、1か月に1回でも「よく来る」と思う人だっているかもしれない。「どれくらい」というのも同じだ。同じ1000円を使っても「とても多く使っている」と捉える人と「わずかしか使っていない」と捉える人がいる。これらは、記述式でなく選択式にしなければならない。

また、答えを誘導してはならないということにも気を遣うべきだ。「釣りやキャンプなど週末のレジャーでは何をしていますか?」とすれば、質問は「レジャー」の中味を聞いているのに、暗にアウトドア関連に誘導しているともとれる。その時点で回答者の選択肢を狭めているのだ。

アンケートの最期に設けられている自由欄への書き込みで、時折本音が読み取れることもある。だから、余裕があれば、そうした自由欄に相当するものを設けるのも効果がある。余裕がないなら、そうした項目をつぶしてまでする質問かということを意識して、最後までアンケートの質問項目の検討はしなければならない。