高度外国人材を活用

日本国内の人口減少に伴い、市場が縮小する傾向にあることに対して、海外事業の拡大を図る企業が年々増加している。しかし、この流れに対して、中堅・中小企業では海外展開を担う「グローバル人材」の不足も課題になってきている。中でも、日本国内又は海外の大学などを卒業し、企業において研究者やエンジニア、海外進出などを担当する営業などに従事する人材、いわゆる「高度外国人材」は、これら企業にとって喉から手が出るほどの宝のように感じられているのではないだろうか。

実際、様々に伝えられているところによると、彼らは日本企業における海外展開計画を後押しするだけでなく、新たな視点によるイノベーションの創出など、様々な形での活躍が期待され、日本企業の競争力強化に資すると見られているようだ。しかし、特に現状の中堅・中小企業では外国人と働く経験が乏しく、またそれらの情報を共有できるようなネットワークも不足していることから、こうした「高度外国人」と呼ばれる人材の活用がなかなか進んでいないようでもある。
こうした背景から、諸外国の優秀な若手人材を対象に、国際化を検討する日本の中堅・中小企業で職場体験の場を提供する経済産業省の「国際化促進インターンシップ事業」がある。

申し込みは例年5月下旬から

この「国際化促進インターンシップ事業」は経済産業省が2016年度から始めたもので、日本の中堅・中小企業向けに高度外国人材を約80日間受け入れてもらい、「海外ビジネスの拡大や新たな展開に向けた知見の構築、外国人と働くことや異文化コミュニケーションを経験することによる意識改革、外国人採用に向けた海外大学などとのネットワークの構築や社内の体制整備」を目的にする。それが今年度も5月下旬から6月末にかけて募集されることになった。募集人数など詳細は公式Webサイト(https://internshipprogram.jp/)を確認してください。

何しろ、昨年度の例を見ればその満足度は非常に高い。企業側の満足度は「大いに満足」「おおよそ満足」合わせて97.4%、インターン生側も同じく97.8%にも及ぶ。

インターン生を受け入れた企業の業種は、製造業が圧倒的に多く、卸売業・小売業、サービス業、情報通信業などと続く。企業規模は従業員数が10人以下が24.0%、11人以上100人以下が49.0%、海外展開予定(まだしていない)が37.2%となっている。

一方、インターン生は10830人のエントリーに対して、世界29か国から225人が実際に来日した。出身国別で最も多かったのがベトナムで66人、次にインドネシア34人、タイ32人、中華人民共和国25人、インド18人と続く。全体的に日本語の能力(自己評価)は「日常会話レベル以上」が52%にもなる。英語力であれば同じく82.2%だ。

次々に課題が解決

利用企業の声としては、「パートナー企業・代理店のリストアップや顧客ニーズの調査・分析、今後の商談につながる企業とのアポイントの取得などを通して、ベトナムにおける事業展開の道筋ができた」(生活関連サービス業)、「新商品の開発についてインターンからのアドバイスも踏まえて取り組んだところ、2019年からの販売が決定した」(食品卸売業・小売業)、「ウエブサイトのコンテンツを改善したところ、わずかではあるが月額売り上げ(B to C)が増加した。これにより、今後の可能性を見出すことができた」(卸売業・小売業)などが紹介されている。

海外ビジネス以外でも新規事業開発・イノベーションや、異文化マネジメントなどの面でも効果のあったことが伝えられている。
「外国人対応に向けた接客マニュアルやPOPなどの作成ができた。外国人目線での商品開発にも成果が得られた。輸出拡大に向けた商品企画書を作成できた。ウエブサイトの多言語化も実現した」(卸売業・小売業)、「インターン生の出身国(インド)に対して、これまで抱いていたイメージが変わった。現地大学との交流関係が構築された」(製造業)、「外国人と働き、異文化を知る楽しさを知った」(医療・福祉)、「外部・若者による刺激は、社内に風穴を開けた」(卸売業・小売業)など。

国際化の第一歩に

もっとも、それらの成果を得るためには入念な準備も欠かせない。同じく利用企業のアンケート調査によると、「具体的な活動テーマ(目標)と行動計画を設定する」(24.9%)、「外国人材の特性や語学力を活かした配置・育成を行う」(18.5%)、「業務の内容を明確にする」(14.9%)などと続く。実際に利用企業に話を伺っても、「(言うまでもないことだが)滞在時の住まいなど、何より生活面を含めたサポートを最低整えてあげることが必要」(製造業)と話し、休日には社員が交替で地域の観光地へ案内するなどの配慮を実際に行ったという。もっともその社長がお話しされるのは、「義務感からではなく、社員たちも楽しみながら交流していたようだ」と振り返る。

反省点でも「事前に用意していたインターン生の課題が、(インターン生が優秀過ぎて)次々にこなしていってくれるので、後の方はやってもらうことを作る方がしんどかった」と苦笑い。利用企業のアンケ―トでは、インターン生受け入れの費用負担についても、「かなり安い」「やや安い」「適切」を合わせると77.6%になる。事業の国際化に向けては「ただ何となく不安」という中堅・中小企業の経営者が多いなか、実際に行動に移す第一歩としてこうした事業を活かすのも良いのではないだろうか。