風評と口コミは別物

インターネットで今や誰もが情報を発信できる時代。企業にとっては、顧客の口コミが有力な販促活動につながっている。しかし、同じくらいに怖いのが風評。「風評被害」という言葉があるが、その影響によるマイナスは場合によっては企業の運命を左右することさえある。

だからというわけでもないだろうが、企業の中には、時に自ら情報を発信することに対して否定的な姿勢が見られる。「君子危うきに近寄らず」というわけだろうが、そこまでは行かなくても、積極的に情報を発信するところまでなかなか行かない企業は多い。でもこれは明らかに間違っている。見て見ぬ振りをしていても災難はやってくるし、それ以上に事業チャンスを活かすことができないのは致命的だ。

そもそも風評と口コミは違う。違うので対応策も異なる。風評は一般には確かめられない、まだ世に知られていないことに対する噂を指す。一方、口コミは確かめようと思えば誰でも確かめられる企業そのものや商品、サービスに対する個人的な評価だ。

知りたい情報がないところに風評が起きる

例えば、風評には「あの企業が不渡りを出しそうだ」「多額の損害賠償を請求されている」「製品に致命的な欠陥がある」といった確かめることのできない、又は確かめることが非常に難しい事柄に関する噂だ。もちろん、悪い風評ばかりでなく、「どうやらこれまでにない画期的な新製品を開発したようだ」といった噂だってある。でもいずれにしても実態とかけ離れた噂は企業にとって迷惑なものだ。

この対応策としては、やはり日頃からの企業の情報公開ということになろうか。普段から丁寧な情報公開を継続して行っておくことが、風評被害を防ぐ最大の対抗策だ。風評は知りたい情報が不足しているときに大きな流れになってしまう。「『知りたい』→『しかし企業からの情報がない』→『情報が出せない理由が何かあるのでは』という憶測が、風評を広めるのです」とコミュニティサイトの「Angel Café」を主宰する平林典子氏が自らの著書の中で語っている。

普段から積極的に情報公開をしていれば、世間にそのような渇望や憶測を抱かせることはないのだ。万一それでも風評が立ち上げってきた場合は、企業として毅然とした対応を取ることが求められる。

ネットの役割は大切

一方の口コミは、風評のような事実に反するものではないだけに、企業に短期的に壊滅的な打撃を与えるものではない。しかし、あくまで個人的な評価を面と向かって企業として否定することができないところが難しい点だ。

例えば、「この会社の製品は故障しやすい」という口コミを聞いた人が、その後たまたまその会社の製品の故障に出くわした時は、「やはりその口コミは正しかった」という確認に変わるだろうし、逆に「故障しにくい」という口コミを聞いていれば、「たまにはそういうこともあるかも」ぐらいで済んだりする。このように口コミの影響は、その内容が企業にとってマイナスであれプラスであれ、それを一層際立たせることにつながる。一度定着したイメージはなかなかそれを覆すことが難しい。それを覆すには大々的な宣伝が必要になる。

企業に対する口コミの話題を多く占めるのは、やはりその企業の商品やサービスに関することだ。その商品やサービスが画期的であればあるほど、口コミに乗りやすいものだ。その対策のためにも、インターネットの役割は重大だ。企業のホームページなどで、ユーザーからの疑問点に答える窓口を持っているのと持っていないのとでは、雲泥の差となる。

自社の物語でファンを作る

企業から見ても、顧客からの疑問点をつかめることはその商品やサービスに限らず、企業が向かう方向性に対してもとても参考になるはずだ。それが企業の常識に慣れてしまった従業員では、なかなか気づくことができなくなるものだからだ。顧客からの疑問を真摯に受け止め、対話を欠かさぬ努力をすることは、企業にとってリスク回避にもつながる。

顧客の要望や疑問は日々変化している。ある企業で起きた不祥事が伝えられると、当然他の企業はどうなのだろうかという疑問が広がる。だから他の企業のことであっても、そうした情報にはきっちりとアンテナを張っておかねばならない。顧客は疑問点が出た場合、その答えを見つけるためだけにわざわざ面倒な手続きは取らない。それが、例えば企業のホームページは気軽にアクセスできて、いつでも解決できると分かればどうだろう。

だからホームぺージもただ単に商品やサービスのカタログ的なものに終わっていてはもったいない。財務諸表やプレスリリースなどをそのまま掲載して終わっている企業も多いが、もちろんそうした情報を欲している顧客もいるだろうが、むしろ企業の社風や社内のシステムに関心がある顧客も多いのではないか。その企業ならではの物語を知りたいのだ。そうした声に対応しながら、自社のファンを作っていくことができればいいのではないだろうか。

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