主導権を取る

社内会議の開催方法について独自の工夫をしている会社は多いが、それにも関わらず依然として会議の生産性が問題とされる。大企業ならずとも、朝から晩まで会議漬けになっている管理職も多い。会議を主催しなければならない管理職にとって会議の在り方一つが成果につながるために疎かにはできないが、かといってそれだけに消耗もしていられない。日本ではプレイングマネジャー的な立場の管理職が多いため、会議のためだけに関わっていては自分の仕事に取り掛かれないからだ。昔から頭の痛い問題の一つだ。

そんな中、いろいろな会社で試みられているやり方を紹介しよう。
まず、管理職なら会議の主導権を握ることが大切だ。会議の開催日時は、他人に任せるのでなく、先手を打って決めるか、もしくは予め定例日を決めたり、前の会議の終わりに次回の開催日時を決めるのだ。重要度の低い会議であれば、まとめ役を決めておいて管理職は欠席することもありだ。出席すべきかどうかの見極めのポイントは、自分の存在によって意思決定に影響があるかどうかで良い。管理職が出ないことで、部下にとっても「任せられている」という責任感を持たせることができるなどのメリットがある。

会議の準備は基本中の基本

会議前には当日の議題、出席者の共有はもちろん、資料がある時には出席者への資料配布を行い、会議の終了時刻を決めておくなどの準備が必要だ。これなどは基本的なことなのでほとんどの会社でそうなっていると思っていたのだが、案外そうなっていないことも多いことが分かって驚いた。「部長の都合で急に開催が決まった会議なので」「皆の予定が空いていることが分かったので」などの理由で開催される会議にどれほどの必要性があるのか分からないが、それで時間が割かれることも多いと聞く。

必要性のない会議に出席者を拘束するのは、会社にとって罪以外の何物でもない。
会議の時間が短ければ良いというものでもないだろうが、アメリカのイノベーションを象徴するシリコンバレーでは、一回の会議にかける時間はたったの10分間とも聞く。10分間でできるわけは、それが参加者の最終的な意思確認だけだからだそうだ。それまでの意見のやり取りなどは、すべてメールで行っているのだという。そもそも日本のように社員として働くのでなく、フリーランサーとして働く人が多いようで、自分の時間を無駄に取られることに対しては極端に拒否反応を示す。それはそれで大変な世界なのだ。

問いかけ方次第で問題も前向きに

時間の話はさておき、会議で工夫をしていることの一つに、出席者全員の意見をどのようにストレートにくみ取るかということがある。それに対しては、発表する際、まず紙(付箋など)に意見を書くという方法がある。出席者は、それを順番に発表するだけだ。この効果としては、何より声の大きな人に意見が引きずられないということがある。しかも、一度自分の意見を紙に書いているので、まとまった主旨の意見を短時間で聞けるという効果もある。

また、提案に対して問題や懸念が起きた時、それに対して「どのようにすればその問題を解決できるか」に変換して考えることも大切だ。例えば、ある提案に対して「資金が足りない」という問題を上げて実現が困難だとするのでなく、「どのようにすれば資金を調達できるか」という問いかけにするのだ。そうすることで、提案に対して後ろ向きになるのでなく、前向きに取り組もうという姿勢ができる。

以前ある会社で、「会社が面白くないのが問題です」という率直な感想が社員から出されたことがあるが、それを「どのようにすれば会社が面白くなるか」に変えたところ、たくさんの提案が出されてその会議が活気づいたということがあった。

目標に対する具体的な行動とそのチェックを怠るな

その際、ただ単に「面白くする」といっても漠然としていると思われる時は、例えば「日本一」とか「大阪一」とかを付け加えるだけで、もっと考えやすくなる。「どうすれば、会社が大阪一面白くできるか」なら、アイデアもいろいろ出てきそうだ。

その会社では、出席者が会議に積極的になってきたところで、「まだ言っていない問題」「言えない問題」「言ってはいけない問題」は何かを話し合った。そうすると営業と製造の関係、互いの個人間の問題、上司の問題などが次々に出てきた。どこにでもありそうな問題だが、最初から「問題の本質は何か」といったところでなかなか答えが出てくるものではない。しかし、せっかく集まって話し合いをするのなら、緊張感を持って、人の意見を気にすることなく自分の意見を述べ、目標に対する問題を見つけ、何とかしていこうという前向きな姿勢を作らなければならない。

目標の設定には必ずそれを達成する日時を記すだけでなく、その具体的な行動を出し、それをチェックできる仕組みを作っておかねばならない。日本の企業はこのチェックが弱いと言われる。一見くだらないアイデアと思われても、仲間がいるとそれもできる。それが会議をわざわざ開催する効用でもある。