利益と課税所得は異なる

事業を運営するようになるとさまざまな税金が発生してくる。その最も代表的なのが法人税だ。法人税は企業会計でいう「利益」ではなく、税務上の「課税所得」を基準に課税されることになる。そう、「利益」と「課税所得」は違うのだ。会計上の「利益」は収益から費用を引いたものだが、「課税所得」は益金から損金を引いたもの。その計算は、会計によって得られた「利益」を元に、税務上の修正を加えることで行われる。このための手続きは「税務調整」と呼ばれる。調整項目として「損金不算入」「損金算入」「益金不算入」「益金算入」の4つがある。

「損金不算入」は会計上は費用としているが、税務上の損金として認められない項目のこと。例としては、「交際費の損金不算入額」「減価償却費の償却超過額」などがある。例えば、交際費などが無制限に認められると、交際費をどんどん増やすことによって所得を少なくし、その結果、課税される額も少なくなってしまう。これでは「公平な税」の考えに反することになってしまう。減価償却費でも損金として認められる償却限度額が決められており、そこから外れた分については、次期以降の損金として繰り越されることになる。「損金算入」はその逆だ。

「益金不算入」は会計上は利益としているが、税務上の益金としなくても良い項目。この例では、「受取配当金の益金不算入額」がある。これは受け取った配当金について、一定の割合を益金から控除する制度。配当を支払った企業側では、すでに課税済みの所得から配当されているため、配当を受け取った企業側で二重に課税するのを防ぐという意味がある。「益金算入」はその逆。

売上高1000万円以下なら消費税免除

法人税の他には、「法人住民税」「事業税」「特別法人事業税」などがある。これらの税金の計算は、法人税の計算と連動して行われる。さらに課税売上高が1000万円を超える法人は、消費税も支払う必要がある。消費税の計算は法人税の計算とは切り離して行われる。

消費税は基準期間(個人事業主であれば前々年、法人であれば前々事業年度)の売上高が1000万円を超える事業者が支払う。その課税売上高は以下の式で算出される。
消費税が課税される取引の売上金額(消費税を除く)−その取引の売上返品、売上値引き、売上割戻金額(消費税額を除く)
なお、事業者免税点制度(1000万円以下の事業者の消費税免除)の判定は、基準期間の課税売上高だけでなく、前年又は前事業年度の上半期の課税売上高によっても行われる。これによって、課税売上高が上半期で1000万円を超える事業者は翌年又は翌期から課税対象となる。

消費税の課税対象事業者は、課税期間の終了の日の翌日から2か月以内に課税標準額等を記載した確定申告書を税務署長に提出しなければならない。消費税の納付もこの期間内に行う。また、課税期間が6か月以上の課税事業者のうち、直税の課税期間(1年分)の消費税納税額が48万円超~400万円以下に該当する場合は、課税期間開始から6か月を経過した日から2か月以内に「直前の課税期間(1年分)の消費税額の6か月相当額」を中間申告しなければいけない。納税額がさらに大きくなると、段階的に3か月ごと、1か月ごとの申告・納税が必要になる。

消費税の免税事業者には、税金が免除されるというメリットがある一方で、仕入れなどにかかった消費税の控除が認められないので、その還付が受けられないというデメリットもある。創業時にまとまった量の仕入れを行った場合は、売上にかかる消費税額よりも仕入れで支払った消費税額の方が多い場合もあり、このような場合は免税の条件を満たしていても、課税事業者になるほうが有利になる。

青色申告はどんなメリット?

個人事業でも会社組織でも、なるべく青色申告者になるようにすればさまざまなメリットが享受できる。青色申告とは白色申告に対するもので、簿記に基づいて帳簿を記載し、その記帳から所得税及び法人税を計算して申告すること。その適用は所管の税務署長の承認を受けてすることができるが、青色申告の承認を受ければ所定の帳簿の備え付けと記帳義務を負う。仮にその記帳保存義務を守らなかったり、相当な虚偽の記帳をしたり、申告書を期限までに提出しなかったりすると、青色申告の承認が取り消されることになるので注意しなければならない。

青色申告者のメリットとしては以下の通り。
▽青色申告特別控除
・複式簿記の記帳者   65万円
・その他        10万円
(白色申告の場合は適用なし)

▽専従者給与の必要経費算入(専従者控除)
生計を一にする配偶者や親族が事業に従事する場合、その親族に支払った場合の給与は、全て必要経費にすることができる。
(白色申告の場合;配偶者86万円、その他50万円が限度)

▽純損失の繰越・繰戻控除
赤字になった場合、翌年以降、法人は10年間、個人事業主は3年間の利益から控除することができる。
(白色申告の場合は原則不可)

青色申告者になることで、このような税務上のメリットが得られるだけではなく、例えば毎日の取引をきっちり記帳し、その記帳に基づいて所得計算などを行うことを習慣にしやすくなるため、会社の経営状況が常に把握できるという大きなメリットにつなげることができる。これが困難な状態に陥った場合も早め早めの対応につながってくる(参考:https://www.nta.go.jp)