「こんなはずじゃなかった」と思わないために

起業の際や新規事業を始める際に、なかなか必要性は認めていてもやりづらいのがマーケットリサーチではないだろうか。自分が取り組もうとしているビジネスに本当にニーズがあるのかどうかというのは、一人で考えていても分かりづらいもの。他人の目から見ると、どうしてあんな事業を起こそうと思ったのかといぶかるようなものでも、それを(準備)している本人は大真面目そのもの。むしろ真面目に思えば思うほど、周囲が見えなくなるのだろう。恋愛に似たようなものと言えるかもしれない。しかし、恋愛と違ってビジネスともなれば、その成否が直接その後の生活を左右することになる。一度でも冷静な第三者の目で考えてみることが必要な由縁だ。

そこでまず、世の中全体で今どのような商品やサービスが受け入れられているのかを知る必要がある。例えば、健康市場についてそれがどういう背景で伸びていて、それに関わる商品やサービスはどのようなものがあるのか、そして、自分がやろうとしているビジネスはその中でどのような位置にあるのかを分析する。そこで用いるのは政府から出されている各種統計や業界団体のデータ、新聞社や放送局の調査データなど、いわゆる2次データがメインになるだろう。できるだけ金のかからない方法で、信頼のできるものを選ばなければならない。一つ注意しなければならないのは、政府の統計などは信頼できるものの、データが2,3年前のものであることも多いので、そこから最近に至るまでのデータは別のもので補うか、周辺のデータから推測することになる。その結果、やっぱりニーズがありそうだと判断できた時は、さらに踏み込んだ調査―マーケットリサーチを自身で行うという順番が妥当だろう。

調査会社に丸投げでは目的に合っているか心配!

その代表的なリサーチ方法として以下のようなものがある。

①質問法
1)面接法
これは調査員が調査対象者に直接面接して質問する方法。面接法のメリットは対面であるため図表や写真などの視覚ツールを活用したり、相手の反応に応じた質問ができること。また、質問の回答率が高くなるのもメリットだ。一方、デメリットは1人ずつ面接するためコストがかかり、調査員による偏りが生じやすいことだ。

2)集団面接法
  これは面接法の一種ではあるが、複数の調査対象者を集めて面接を行う方法。グループインタビューとも呼ばれている。集団面接法は個別の面接法に比べてコストが安くて済む。また、互いによって発言が促されるのも特徴。但し、司会を担当する調査担当者の能力によって結果が大きく変わるのがデメリットだ。

3) 電話法
これは電話で質問する方法。メリットは短時間で調査できることと、面接法に比べて低コストで調査ができること。デメリットは調査員の顔が見えないため、調査対象者に不信感が生まれやすく、非協力的になりがちなことだ。

4) 郵送法
郵送法はアンケートを対象者に郵送し、回答を記入してもらって返送してもらう方法。このメリットは調査員が質問をする必要がないため、人件費のコストが安く済むこと。デメリットは回収率が低くなること、対象者の住所のリストを入手することが難しいこと。

5) 留置法
これは事前にアンケートを調査対象者に配布し、記入を依頼しておき、後日調査員が訪問して回収する方法。国勢調査などはこの方法だ。これは郵送法と比べて回収率が高く、回収時に調査員が記入漏れなどをチェックできる。記入に時間がかかるアンケートに向いている。デメリットは調査対象者の家族などの意見が影響する可能性や、調査対象者以外の者が回答する可能性があること。

6) その他
  FAXによる方法やインターネットを使った方法などがある。どちらも低コストでできるが、調査対象者がFAXを持っていたり、インターネットを利用できる人に限られるため、目的によっては向かない場合がある。

②観察法
これは調査対象者の行動や反応を調査員が観察することでデータを収集する方法。店舗の中での行動を調査する動線調査などが有名だ。

③実験法
これは、例えば店舗の中で陳列方法や場所を変えてみて、売り上げへの影響を調べるような場合に使われる。

より深く知るために

これらの他にも、より深く顧客の深層心理などを見たい場合、以下のような方法がある。

④エスノグラフィー調査
顧客の生活に入り込んだりして観察をする調査法。顧客の地域性による文化や生活習慣、価値観による行動様式を理解して、企画立案や商品開発などに役立てようとするもの。

⑤セントラル・ロケーションテスト
街頭などで通行人を調査対象として特設会場に誘導し、テストに参加してもらうという会場テスト。

⑥ニューロ・マーケティング調査
脳科学の観点から消費者の脳の反応を計測することで、消費者心理や行動の仕組みを解明し、マーケティングに応用しようという調査。神経マーケティングとも言われる。

⑦フォーカスグループ・インタビュー
座談会形式のインタビュー調査。検証したい仮説に対して想定されるターゲットを集めて、これらの客層の意識や深層心理を把握しようとする。

いろいろ挙げてきたが、どれか一つを選ぶ必要はない。必要に応じてそれぞれのメリット、デメリットを考えていろいろな調査方法を組み合わせ、検討を深めていくことが大切だろう。

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