顧客満足度は必ず下がるという常識

「あの店は昔に比べて味が落ちた」という評判は、味で勝負をしている飲食店に対してしばしば耳にする言葉である。
しかし、「おいしくなった」という評判を聞くことは皆無に等しいのではないだろうか。

各店はそれぞれに努力をしていても、お客の評価は厳しいものがある。

実はCS(顧客満足)の世界での常識の一つに、「顧客満足度は必ず下がる」という法則がある。何故か。

顧客満足度は事前の期待値を上回ることで初めて充足されるものであり、充足された顧客満足度が次回の期待値に入れ替わっていく。
満足すればするほどさらに期待値は高まり、高い顧客満足度を維持するためには相当の努力が求められるからだ。

驚くほど低いお客の維持率

顧客満足度の維持に悩むのは飲食店だけではない。

2014年と少し古くなるが手元にある資料で、ある店舗における前年の母の日にカーネーションを購入したお客の中で、今年も同様にカーネーションを購入する割合はわずか「3%」しかなかった。
カーネーションが特別なものかと思いきや、節分の恵方巻では「16.5%」とこれも驚くほど低い。
ちなみに、土用の丑の日のうなぎのかば焼きの維持率などでも同じ傾向が示されている。


前年買って、今年買わない理由はどこにあるのだろうか。
それを正確に把握するためにはお客に理由を尋ねるしかないが、他店で購買したのか、他店を含めて一切購買しなかったのか、そのどちらかしかないのは確かだ。

わざわざ買う?

推測の域を出ないが、たとえプレゼントとして人に差し上げるものでなくても、年1回の機会であれば、わざわざ前年と同じ商品を手に取る人は少ないのかも知れない。

記憶に残るほど良かった、おいしかったとなれば話は別かも知れないが。

変化させること、飽きさせないこと、これらのことは今更言うまでもなく商売において極めて重要なことである。
毎年同じような商品、毎年同じような売り場展開ではリピーターは作れないのだ。
低い維持率はそのことをデータが物語っているように思う。

異なる点、訴求点を明確に

維持率のアップに有効と思われることは、昨年の購買者にターゲットアプローチを仕掛けることであり、品揃えを見直し、昨年と異なる点、今年の訴求点が明確に伝わるように工夫することが大切だ。

結局、それが徹底できなければ維持率のアップは困難なのだ。
新規での購買は一定の割合で見込めるため、結局維持率を上げることが売り上げ増につながることになる。

ちなみにミシュランガイドで掲載される三ツ星店は、2012年から減り続けている。日本を代表する名店といえど、満足度の維持はやはり難題のようである。