電話対応は、多くの企業で新入社員の最初の仕事として割り振られています。特に新卒社員が入社してすぐの段階で会社宛の電話を受けるのは、自社にどういう取引をしているのか、どういったお客様の声があるのか、などを知る上でとても合理的です。
しかし、IT化が進む現代社会において、電話を取ることについて苦手意識や恐怖心を持つ若手社員がとても多くなっています。
「不必要だと感じる会社への電話を受けた際、ストレスを感じることがありますか?」という質問に対して「とても感じる」「まあまあ感じる」と答えた社員が全体の66.3%(※)となった調査結果からもわかるように、多くの若手社員が電話に苦手意識を持っていることが伺えます。
こういった電話対応への苦手意識を持つ若手社員の手助けとなるのが電話対応マニュアルです。しかし、多くの企業が『電話対応は対応方法を丸暗記してしまえば何とかなる』と考えている風潮があります。マニュアルは、電話対応における筋書き、テンプレートは、台本であると捉えられているのです。テンプレートにある例文を覚えておくことは、いくらか新人社員を助けますが、実際の電話対応は筋書き通りには進まない流動的なものです。お客様や取引先の数だけそれに合わせた電話対応が必要になってくるのです。
今回は、丸暗記ではなく、どんな場面でも動じずに“使える”電話対応マニュアルの作成・更新するためのポイントを一例としてテンプレートを踏まえながら解説します。
(※【出典:うるる】最近話題の「テレハラ」について、決定的に欠けている視点)
電話対応の基本と大切なポイント
基本1│ペンとメモ
電話の近くにペンとメモを用意しましょう。先輩や上司は、メモやペンを持っていないかもしれないですが、用意してください。「出来ないな。」とは、思われません。逆に、「おっ、最近の子にしては珍しい。良く出来るな。」と思う人が多いです。もし、「メモとペンなんて要らないだろう。」という人がいたとしても、そういう人は、伝言を間違えた方が怒ります。ペンとメモを用意してください。もし、出来るならメモには
① 会社名
② 部署名(必要なら)
③ お名前
④ 宛先
⑤ ご用件
⑥ 電話番号
⑦ 折り返しの電話の 要 ・ 不要
⑧ 会社・部署ごとに必要な項目
これだけ印刷していると安心です。②と⑧は、自社に合わせてカスタマイズしてください。メモの紙が無駄と思う場合は、PCのメモ帳を使ってタイピングしても良いです。電話のヒアリングや応対に集中できる方を選んでください。
基本2│電話機の基本操作を覚える
上司や先輩は、固定電話を家で頻繁に使っていた人が多いです。自宅電話でキャッチホンや、子機があり保留から転送、元に戻すなど普通に会社に入る前に使っていた人も多いです。その為、当たり前すぎて教えてくれない人もいます。今は、固定電話の操作方法をそこまで知っている方が普通ではないですから、安心して教えてもらいましょう。ビジネスフォン(固定電話)の基本の使い方を覚えておきましょう。
① 保留
② 保留から元に戻して対応
③ 保留してから、他の固定電話へ内線をかける方法
④ ③で話した後に転送する方法
⑤ ③で話した後に元に戻して、自分が話す方法
⑥ その他
基本的には、上記を覚えれば大丈夫です。上記以外は、特殊なので多くの場合は先輩社員が教えてくれます。ビジネスフォンの場合、メーカーや設定で操作が異なるので、前職と同じメーカーでも確認してください。
基本3│まず自分から名乗る
スマートフォンや自宅電話は、「もしもし、」と応対し、先方から名乗ってもらうのが基本です。プライバシーやセキュリティを守るためですね。でも、会社の電話は、公の電話ですから、「ありがとうございます。〇〇会社でございます。」と先に自分から名乗りましょう。AM10時まであれば、「おはようございます。〇〇会社でございます。」と時間によって対応を変える会社もあります。
基本4│敬語や敬称の理解
自分の会社⇒弊社、相手の会社⇒御社、上司も呼び捨て呼ぶ、わかりました⇒承知しました等、ビジネスで使う敬語、謙譲語、尊敬語等、覚えましょう。電話対応だけでなく、顧客対応全般や社内でも、コミュニケーションがスムーズになります。満点でなくても大丈夫です。先輩や上司も、何度も使ってスキルアップしていますし、完璧に使いこなせる人もほとんどいません。それでも、十分レベルの高い対応は出来きます。まずは、一つ一つ覚えましょう。
基本5│事業内容、部署の業務、各担当の理解
会社の代表電話には、様々な問合せがあります。既存顧客、新規顧客、取引先、銀行、営業電話、間違い電話。教えてもらえる先輩が居たら、どんな問合せがあって、その場合は誰に取り次ぐのか、不在の場合は、何をお伺いすれば良いのかを確認しましょう。教えてもらえる人がいなければ、事業内容や、組織体制(部署)、各担当を時間があるときに把握しましょう。慣れるまで、応対中困った時は、顧客、取引先として対応すると安全です。営業の電話を顧客や取引先と間違えても、怒られるかもしれませんが大事にはなりません。顧客や取引先を営業として扱うと怒られるだけではなく、会社に損害を与えるかもしれません。
大切なポイントとは
電話対応をする上で、本当にものすごく大切なポイントをお伝えします。
今までお伝えした基本は大事ですが、この大切なポイントが抜けていると、基本の敬語、伝言、電話機の操作、事業の理解が完璧に出来てもクレームになることがあります。この大切なポイントとセットで対応することで大きく変わります。
例えば、
・電話してくれる顧客が、笑顔になるのがわかる。
・クレームで怒っていた人が、電話を終える頃に逆に謝ってくれる。
・困って電話してきた人にお礼を言われる。
・電話が怖くなくなる等。
電話は、E-mailや、チャットよりも相手の気持ちもわかります。逆に言えば、こちらの気持ちも伝わります。慣れていないと難しいですが、慣れると顧客や取引先の人とつながりを感じられる温かいツールです。大切なポイントを抑えることで、自分も顧客や取引先もお互いが温かさを感じられるようになります。
最初の名乗りは笑顔で対応
「笑声」「口角をあげて」と言われますが、しっかり「笑顔」で一声目を対応することが大事です。電話して来られた方にとって、一声目は、お店に入った時に感じる雰囲気と一緒です。暗い声で「いらっしゃいませ。」と言われるのと、気持ちのこもった「いらっしゃいませ。」と言われるのと、あなたはどちらが良いですか。「来てくれてありがとう。」と感じられる「いらっしゃいませ。」は、なぜか感じられますよね?心地良いですよね?
電話でも同じです。「電話してくれてありがとう。」という気持ちで「お電話ありがとうございます。〇〇でございます。」と応対すると伝わります。例外な人もいますが、多くの人へは通じるので、1人通じない人がいても諦めないで続けましょう。
頭も気持ちも直前の業務のことは一旦忘れる
仕事が忙しすぎたり、クレームの対応した後でイライラした気持ちで電話に出ると、相手に伝わります。自分は普通に話しているつもりでも、相手へは伝わります。それも、残念なことに誤解されて伝わります。例えば、両親、兄弟、仲の良い友達、彼氏、彼女なら、自分に対して怒っているのか、何か落ち込んでいるのかは、伝わりますよね?鈍感な人もいますが、逆に何でわかってくれないの?と思うのではないでしょうか。
話が逸れましたが、顧客や取引先、電話口の方へは、他のことでイライラしていても、怒っていても、落ち込んでいても、詳細は伝わらず、対応の感じ悪いということだけが伝わります。先方が普通の用件であれば、「感じ悪いな。」と思うだけかもしれませんが、クレームの電話なら、余計に怒りを買います。顧客が困った時や急ぎの問合せだったなら幻滅します。
電話による顧客対応も、会社の大切な業務です。直前のことは忘れて、フラットな頭と気持ちで電話口の相手の方へ集中しましょう。
大切な人との電話
イライラしたり、落ち込んだ気持ちが伝わるのと逆です。好きな人、大切な人と思って対応すると、それも相手に伝わります。中々、会社の電話で、気持ちを込めるのは難しいですが、落ち着いて話せる大切な人をイメージして、その人からの電話だと思って対応してみましょう。彼氏、彼女、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、大好きな友達、誰でも良いです。
相手に伝わる雰囲気が変わるという大きなメリット以外にも、
・相手の話に自然と集中できる
・相手の方へ自然と共感できる
・心からお詫びを伝えられる等、
他にも多くのメリットがあり、想像以上に強力なスキルです。
補足のポイントとしては、電話は対面よりも声だけの分オーバーリアクションの方が伝わります。
落ち着いて話を聞く
電話対応が苦手な人、先輩から「なぜちゃんと〇〇も確認してくれないの?」と怒られた人、会社の大切な電話だからと緊張してしまう人、真面目な方に多い傾向ですが、緊張、恐怖感、確認項目に集中しすぎてしまい、聞くこと(ヒアリング)に集中できないケースがあります。
ちゃんとしないとと緊張していたり、恐怖感を持って電話を受けると、ヒアリング力は落ちます。まずは、落ち着いて聞くことに集中することが大事です。
また、電話をして来られる方は、その人自身に用件があり、お電話でお問合せされています。顧客の場合は、プロではないですから商品名を間違っていることもありますし、HP記載内容を読み間違っていることもあります。確認や、聞き取り項目も大事ですが、まず相手の伝えたいこと(言葉通りのこと、気持ち、真意)を汲み取ることに集中しましょう。その上で、確認や聞取りを行った方が、当然良い対応になります。
自分から聞いても大丈夫
一回で聞き取らないとと思う人がいます。確かに何度も聞き返されると、気分を害される方は多いです。良い対応とも言えません。しかし、伝言が正確に伝わらないこと、話がかみ合わないことの方が余計に気分を害されます。今は、マスクで聞き取りづらかったり、スマホの電波が悪いこともあるでしょう。
多くの場合、
「申し訳ございませんが、お電話が遠いようでもう一度お伺いしてもよろしいでしょうか。」等、
再度お伺いするのが申し訳ないという気持ちを伝えて、理由もわかるように伝えてお伺いすれば大丈夫です。怒る人もいますが、少数です。多くの場合は、次は大きな声でもう一度話してくれます。(申し訳ございませんがに、電波悪いだよとイラっとしたらダメですよ。伝わりますから。)
事業内容や、頻繁にかかってくる用件等、理解を深めたら、聞き返すことも確実に減ります。また、すごくスキルの高い人でも、聞き返すことはあります。スキルの高い人ほど、普通に聞き返せます。怖がらないで、聞き取りできない、意味が分からない時は、自分から聞いてください。もし、怒られても次から聞かないではなく、聞く方法(言葉)を工夫しましょう。
補足:代表電話、部署の電話は複雑化
会社や部署の代表電話、固定電話の対応は、一昔前よりも複雑で難しくなってきています。でも、上司や先輩は、一昔前と同じ感覚で「電話を取り次ぐぐらい簡単だろう。」と思っていて、そこに大きなギャップが生まれています。
一昔前は、顧客や取引先との連絡手段は、代表電話や各部署の固定電話、FAX、郵便しかありませんでした。その為、代表電話や固定電話の問合せの多くは、簡単な用件、取り次いだら終わりの用件がほとんどでした。
今は、顧客や取引先との連絡手段は、HPフォームやE-mail、チャット、各担当者のスマホと様々なツールが増えています。そのため、代表電話や、固定電話の問合せ数自体は、減っています。(数が減っていることも、上司や先輩が誤解する一要件になっています。)
でも、代表電話や固定電話へは、
・担当のスマホへ電話してもかからない。
・担当からの折り返しの電話が待てない。
・HP見たけど、わからない。
・わかったら、今すぐ欲しい。
・E-mailの返信内容が納得いかない。
等々、担当からの折り返しの電話を待ったり、HPフォームやチャットの問合せで上手くいかない等、電話以外の連絡ツールで不具合が生じた場合の連絡手段が、代表電話、固定電話になっています。そのため、代表電話、固定電話の問合せ内容は複雑化していますし、新規顧客や、既存顧客の気持ちが大きく振れている(怒っていたり、困っていたり、急ぎ)状況であり、対応が難しくなっているんです。
また、電話対応が苦手な社員が増えているのと同じで、電話対応が苦手な顧客も増えており、応対自体が難しくなっています。
電話対応は、難しいですが、E-mail、チャット、WEBミーティングと同じように大切な顧客対応です。スキルを身に着けることで、苦手な人が今後益々増えてくるからこそ会社にとって、必要な人材になります。
電話対応マニュアルとテンプレート|基本のフローチャート
電話対応のマニュアルは、電話をかけてきた方に適切な処理のフローに焦点を当てて作成することが重要です。ただ基本的な流れのみを押さえたマニュアルでは、イレギュラーに対応できず、電話を取った社員が自らの頭で判断して適切な処理を行えないからです。
基本のフローチャート一例は下記です。
電話の受け方の基本マニュアル
1.3コール以内に受話器を取る
電話のコールは、「1秒鳴る+2秒静か」の組み合わせとなっています。基本は、1.5コール以上3コール以内で取りましょう。電話を3コール以内に取るべき理由は、お客様への印象を良くするため、そしてビジネスチャンスを逃さないためです。最近では、普通は他のツールで企業と連絡を取り、困ったときに代表電話へお電話されることが多いです。すぐにつながる安心感と、相手の方が電話を切る前に取る目安が3コール以内になります。短すぎると、違和感を感じるので、1コールは待つのが良いでしょう。
もしも、4コール以上経ってから、電話を取った場合は、
「お待たせいたしました。〇〇会社でございます。」や、
「大変お待たせいたしました〇〇会社でございます。」と対応しましょう。
2.電話に出る(名乗りと挨拶)
電話に出て最初の挨拶は、会社の顔として電話の相手に最初に届ける声です。
心理学では『初頭効果』という言葉がありますが、【最初に与えられた印象が、後々の情報を左右する】と言われています(※)。電話対応を好印象で終えるために、特に第一声は笑声を意識しましょう。
「お世話になっております。」「お問い合わせいただきましてありがとうございます。」など、状況に合わせた挨拶を添えると、より印象がよくなります。
(※最初の数秒で決まる?!「第一印象」を良くするビジネスマナー)
3.相手の会社名と名前用件をお伺いしメモを取る
電話対応では相手の口元動きが見えないこともあり、特に初めて聞く社名や名前は一度で聞き取ることができない場合があるため、わかったフリをせずにきちんと確認を取ることが大切です。聞き取れた内容に自信がない場合は、何度も「もう一度」とお願いするよりも「○○商社の××様でいらっしゃいますね。」「□□の件でございますね。」など、自ら復唱して確認を取りましょう。
4-1.電話を保留後、担当者に取り次ぐ
用件をお聞きしたら「少々お待ちくださいませ。」と言い、保留ボタンを押し、名指しの場合は名指し人に(もしくは用件を担当している部署に)電話を回して問題ないかを確認しましょう。
4-2.名指し人(担当者)が不在の場合(すぐに電話に出られない場合)
用件がある人(名指し人、担当者)が不在、またはすぐに電話に出られない場合はその旨をお伝えし、折り返しの提案をします。
担当者の戻り時間がわかっている場合は、「××(担当者)は00時頃の戻り予定です。」とお伝えしましょう。
5-1.折り返し先の確認
こちらからの折り返しの提案に了承をいただけたら、
「念のために折り返し先のご連絡先をお伺いしてもよろしいでしょうか。」と電話番号をお聞きし、必ず復唱確認をしましょう。また、余裕があれば、
「ご都合のよいお時間はございますか?」
「担当の者が戻り次第ご連絡をいたします。よろしいでしょうか?」と折り返しのご希望時間を確認すると尚良いでしょう。これで、再度の連絡のすれ違いを防ぐことができます。
5-2.伝言を預かる
折り返しの連絡は不要であると言われた場合には、
「何か担当の者に申し伝えることはございますか。」と伝言があるかどうかを確認しましょう。
伝言をお預かりした場合は、
「かしこまりました。××(担当の者)へ○○と申し伝えます。」と復唱して確認を取りましょう。
お相手が「改めてこちらからかけ直します。」、「伝言だけお願いします。」などと仰った場合でも、再度の電話がかかって来ない・担当者が伝言内容について問い合わせたいことがあるなどのケース(顧客は不要でも担当者は電話をしたい場合があります。)でお相手の電話番号が必要なケースがあります。
「念のため、お電話番号をお伺いしてもよろしいでしょうか。」と確認しておきましょう。
6.電話が切れたのを確認してから、受話器を置く
ビジネスマナーでは、電話をかけてきた方から電話を切るのがマナーですので、必ず相手が電話を切ったことを確認してから、受話器を置きましょう。
そしてその後、読み間違いなどが起きないように丁寧に伝言メモを作成し、担当者へ渡します。必ず担当者に伝わるように、メモの書き方や渡し方には注意が必要です。
※伝言メモの書き方や渡し方についてはこちらで詳しく解説しています。
・デキるビジネスマンの常識!?電話対応のメモの取り方のコツを解説(前編)
・デキるビジネスマンの常識!?電話対応のメモの取り方のコツを解説(後編)
困った場面の電話対応マニュアル

電話対応は、相手が100人いれば100通りの対応があります。基本のマニュアルやテンプレートを頭に入れていてもその通りには進まない場面も多くあります。そういったイレギュラーな場面に臨機応変に対応するためには、予め応用ができるような様々なイレギュラーな場面を想定したマニュアルやテンプレートを作成しておくことが大切です。
1相手が名乗らない場合
電話をかけてきた相手が付き合いの長い取引先であった場合や過去に在籍していた役職者である場合、または上役の親族などの場合には、自分のことを知っているという前提で名乗らないケースもあります。そのような場合には「恐れ入りますが~」「失礼ですが~」「差し支えなければ~」といったクッション言葉を添えて、「お名前をお伺いできますでしょうか。」と失礼のないようにお伺いしましょう。
相手がお急ぎの様子で、どうしてもお名前を名乗ってもらえない場合には、担当者にそのまま伝えて、電話を取り次いでもらいましょう。担当者が不在の場合は、担当者が所属している部署やチームの方に尋ねれば、その人のことを知っている/担当者の代わりに対応できる人がいるかもしれません。相手の様子に合わせて臨機応変な対応をすることが好印象の電話対応には大切です。ご用件を言ってもらえない場合も同様です。
2.不要な営業の電話の場合
電話に出るとサービス案内を始めるなど、営業の電話かな?だと感じたら、まず「失礼ですが、どのようなご用件でしょうか。」と尋ねてみましょう。こう問われると相手はセールスの電話だと言わざるを得ません。営業担当者は電話の時間を長くすることで、より多くの商品やサービスの魅力を伝えようと会話を引き延ばしてくる傾向にあります。不要な営業電話の対応に時間をロスしてしまわないように、ご案内という内容で商品情報を話始めたら、なるべく早くに用件を尋ねてみましょう。
また、自社にとって不要な営業電話だとわかったら、はっきりとお断りすることが大切です。でないとまた何度も同じ営業電話の対応をしなければならなくなります。
「申し訳ございませんが、全てお断りするように言われております。」
「必要な場合はこちらから折り返しますので、今後のご連絡は不要です。」などと、きっぱり、丁寧にお断りしましょう。
3.騒音や電波障害で相手の声が聞き取れない場合
電話の相手が駅のホームなどから電話されていて、周囲の雑音が多く声が聞き取りにくい場合や、声が小さくて聞き取りにくい場合、電波状況が悪く声が途切れ途切れになってしまう場合には、
「恐れ入りますが、お電話が少々遠いようでございます。」
「申し訳ございません。電波が悪く、聞き取ることができませんでした。もう一度お願いいたします。」などとお伝えしましょう。
電波や電話機の不具合で全く相手の声が聞こえないという場合には、何度か「お電話聞こえておりますでしょうか?」と呼びかけ、それでも何も返答がない場合には、「申し訳ございませんが、お電話聞こえませんので失礼させていただきます。」と切電するとよいでしょう。
電話のかけ方の基本マニュアル

事前に用件をまとめる
伝えたいことがあるから、電話をかけるのですが、気持ちが先走って電話をかける方がいます。また、整理されていないと話の途中で相手の方から話の腰を折られたり、別の案件の話をされて、自分が伝えたかったこと、確認したかったことが聞けないままに、相手の方が電話を切ってしまうこともあります。最近は、どの会社も業務効率に厳しく、また電話をかけられる方は集中力を削がれるため嫌がる方もいらっしゃいます。相手に合わせて短時間で終話できるように、慣れるまでは、用件をまとめておきましょう。
〇〇〇と△△△をお伝えする。
質問があり〇〇〇の回答がほしい。
メールのやり取りで理解しているが齟齬がないか〇〇は□□のことか確認する。
要は、伝えるだけ。教えてもらう。確認。大抵は、どれかに当てはまります。
営業の電話では、約束を取り付ける等もあるかもしれませんが、その場合はトークマニュアルやスクリプトがあるでしょうから、事前にしっかり確認しましょう。アポ率、成約率を上げるためには、確認時に相手がどう思うか、その場合、その言葉を自分がどういう気持ちで伝えるかも考え、ロープレすると良いでしょう。
時間帯に注意する
相手にとって都合が悪い時間帯、例えば、始業間際、お昼、終業間際、スケジュールを把握している場合には、その時間帯は避けましょう。但し、緊急時には、時間帯でも電話をしましょう。ケースバイケースです。特に相手にとって重要、緊急時には、相手の方にとって必要ですから、勇気を持って電話しましょう。
その際には、例えば、お昼時であれば、自分の社名、名前を伝えた後すぐに、「お昼時に申し訳ございません。〇〇の件で急ぎでお伝えしたいことがあるのですが、今よろしいでしょうか。」等と何の件か、緊急であることがわかるように確認しましょう。
似たような感じでも、
「お昼時に申し訳ございません。今お電話よろしいでしょうか。」だと「今、忙しいから後にしてください。」と断られるケースもあります。そこから、「〇〇の件で問題がございまして、急ぎでお伝えしたいのですが~~。」となり、用件を聞いてもらえたとしても、相手も忙しい中、対応が長くなってしまいます。
相手の都合の悪い時間帯に、緊急時、トラブル時で電話をするときこそ、スムーズに伝えなければいけないにも関わらず、焦ってスムーズに伝えれないものです。1~3分で良いので、そういう時こそ事前に用件をまとめましょう。
聞取りやすいようにはっきり話す
最近では、マスクをしながら話すことも多いかもしれません。意識して口を大きく開けてはっきり話しましょう。電話だと声が籠るので、オバーリアクションでも良いぐらいです。恥ずかしがらずに、相手の方が聞き取りやすいように話しましょう。特に携帯電話、スマートフォンの場合は、電波状況も気をつけて、固定電話よりもはっきりと話しましょう。最近ではクラウドPBXを利用している企業も増えています。クラウドPBXの種類によっては、通常の電話回線よりも音質が劣化しているケースがあります。普段から劣化している場合は、気をつけて話すでしょうが、時間帯やタイミングにより劣化するケースも少なくありません。相手の反応に合わせて口や声の大きさは調整しましょう。
「もう一度御社名よろしいでしょうか。」と言われた際、相手の方が明らかに集中していなくて確認される場合も間々ありますが、聞取りにくくて確認されることも多いです。そんな時に、先ほどと同じ声の大きさ、口の大きさで話しても、聞取り出来ません。相手も聞き返しているので1回目よりも集中していて聞き取れることもありますが、疲れます。「あなたと話すと疲れる。」という印象を相手の深層心理に擦り込ませないように、はっきり話しましょう。
取り次ぎをお願いする
一般的なケースでは、担当者〇〇さん宛にお電話をかけます。
「お世話になっております。株式会社〇〇(会社名)□□(必要であれば部署名)(△△(自分の名前)です。■■(相手企業の規模により部署名)××様いらっしゃいますでしょうか。」普段から、取引がある方へのお電話では、手短に取次をお願いした方が、取り次ぐ方が時間を取られずに済みますので、相手の方のお名前をお伝えして取り次いでもらいましょう。
しかし、取引が初期の段階や、電話でのやりとり頻度が低い方へのお電話の場合、営業電話と誤解される場合もあります。電話を受けた反応が「誤解されているかな?」と思った際には、簡単に用件を伝えましょう。「先日、××様からご依頼いただいた~~~~の件でお電話させて頂きました。」等、端的に用件を伝えましょう。注意が必要なのは、社内へ内密な案件で社長や管理職の方とやり取りしている場合は、当然用件を伝えることは厳禁です。「今××様にご依頼頂いている件でお電話させて頂きました。」等の言い回しで取り次いでもらいましょう。
最近は、スパムメールやフォームから営業メールを送付しても、「やりとりさせて頂いている件で~~」と営業電話をされるケースもあります。そんな場合は、「実際にお打ち合わせもさせて頂いておりますので、株式会社〇〇(会社名)□□(必要であれば部署名)(△△(自分の名前)からの電話で確認を取っていただいてもよろしいでしょうか。」と若干辛いですが、お願いしましょう。
担当者が在席している場合
担当者が、在席で取り次いでもらった場合、再度挨拶と社名等を名乗ってから用件をお伝えしましょう。タイトル+詳細という感じでお伝えするのが望ましいです。
「いつもお世話になっております。株式会社〇〇(会社名)□□(必要であれば部署名)(△△(自分の名前)です。先日ご依頼いただきましたお見積りの件(タイトル)でお電話させて頂きました。今、少しお時間よろしいでしょうか。(1分30秒~2分以上の内容であれば、少し長くなりますが良いですかという意味で確認しましょう。)それから用件をお伝えしましょう。また、懇意な方で、かつ忙しい方なら□□(必要であれば部署名)も、取り次いでもらった後の担当者へは省いても良いです。
担当者が不在の場合
担当者が不在の場合は、用件と担当者のスケジュール、窓口の方の回答によって対応しましょう。
「15時まで会議の予定です。」や「外出していまして、16時戻りの予定です。」と言われれば、急ぎでなければ
「改めてお電話させて頂きます。失礼致します。」「株式会社〇〇(会社名)□□(必要であれば部署名)(△△(自分の名前)から電話があった旨お伝え頂いて宜しいでしょうか。」「●●の件でお電話頂きたい旨お伝え頂いて宜しいでしょうか。」「〇〇の納期の件ですが、予定より早まり3日になる旨お伝え頂いてよろしいでしょうか。」
と伝言をお願いしましょう。
急ぎの場合は、急ぎの旨と用件をお伝えしましょう。
「〇〇の件で△△になりまして、急ぎご連絡頂きたいのですが、お伝え頂けますでしょうか。」詳細伝えても良ければ、より具体的な用件をお伝えし、外出先や会議中でも確認を取るかどうかは、先方の応対者へ判断を委ねましょう。
電話の切り方
話が終われば、良い話なら笑顔で「ありがとうございました。失礼いたします。」クレーム対応等の相手にとって悪い話なら、一度お詫びしていても、最後にもう一度謝罪の気持ちを込めて「申し訳ございませんでした。失礼いたします。」とお伝えし、相手が電話を切るのを確認してから、受話器を置きましょう。基本的には、電話をかけた方から切るのが基本です。しかし、相手が顧客や目上の方なら相手が切るのを待ちましょう。
もし、電話を切るのを相手の方が待たれている場合は、絶対に受話器をそのまま電話機に置かないでください。上記写真の電話機のフックスイッチをそっと指で押して電話を切った上で受話器を置きましょう!!
受話器をそのまま置くと相手には「ガチャン」とキツい印象を与えてしまいます。話している最中は、良い話であなたへ好意を寄せていることが伝わり喜んでもらえていたとしても、クレーム対応で真摯な気持ちが伝わっていたとしても、話が終わった途端「ガチャン」と電話を切られると、相手の方は「あの対応嘘だったのかな?」「あ~、営業スマイルか~」と感じる方もいらっしゃいます。
せっかく良い対応をしたのなら、相手の方には、最後まで気持ちよく終話してもらいましょう。
クレームの電話対応のマニュアル&テンプレート
クレームの電話対応は、自社がどのような商品やサービスを提供しているのかによって聞き取る内容は変化しますが、どの企業のクレーム対応に関しても言えるのが、【普段の電話以上に相手の話をよく聞くこと】が大切であるということです。
特に新人の場合は、クレームに焦り、早く担当者に取り次ぐ為に、こちらが必要な情報を早く相手から聞き出そうと相手の話を遮って質問をしてしまいがちです。相手が用件を話し終える前にこちらが質問をしてしまうと、「話を遮られた!」と余計に相手をヒートアップさせてしまい二次クレームにつながる可能性があるので、いつも以上に落ち着いた対応を心がけましょう。
「○○の商品が、△△の状態ということですね。この度は、ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。」と相手のご用件をしっかりと聞き取り、確認し、謝罪のお言葉を添えましょう。その後の対応について自ら判断ができない場合は、勝手に「○○させていただきます。」などの約束を行わないことも大切です。
言いたくなるのはわかりますが、万が一対応出来ない場合はもっと大きなクレームになります。つらくてもそこは耐えて安易な約束はしないように注意しましょう。
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