
電話代行サービスを導入した企業の中には、長年にわたって同じ会社を利用し続ける企業がある一方で、数か月から1年程度で契約を終了する企業もあります。
その中には、企業側と電話代行会社側が、お互いに何を求めているのかを十分に共有できていないことで、少しずつ不満が積み重なり、結果として契約終了につながるケースも少なくありません。
では、どうすれば長期的に良好な関係を築けるのでしょうか。
今回は、電話代行会社との契約解除理由から見えてくる「コミュニケーションの重要性」について考えてみます。
【目次】
契約解除の理由は「応対品質」だけではない
電話代行サービスの契約終了理由としてよく挙げられるのは、
• 応対品質への不満
• 報告内容への不満
• 応対スピードへの不満
などです。
しかし、これらを詳しく見ていくと、「電話代行会社の応対品質がとんでもなく悪かった!」とは限らないのです。
具体的には、電話代行会社の応対品質は悪くはなかったけれど、「企業側が思っていた対応とは違った」というケースです。
例えば、企業側は「お客様の気持ちに寄り添う丁寧な対応を期待していた」一方で、電話代行会社は「折り返しの電話になることをしっかり伝え、迅速に報告することが最優先」と考えていた場合などです。
契約解除理由として挙げられる「応対品質への不満」や「報告内容への不満」の中には、実は期待値のズレが隠れているケースも少なくありません。
では、具体的にどのような場面で期待値のズレは発生するのでしょうか。
期待値のズレが生まれる3つのポイント

実は、多くのケースで共通しているのが、
• 求める応対レベルの違い
• 報告してほしい内容の違い
• 期待する役割の違い
です。
これらの認識が十分に共有されていないと、企業側は「期待していた対応と違う」と感じ、電話代行会社側は「契約内容どおりに対応しているのに」と感じてしまうことがあります。
求める応対レベルの違い
企業によって、電話対応に求めるレベルは大きく異なります。
例えば、
• 全て折り返しでいいので迅速な対応を重視したい企業
• 大量の受電をとにかく捌いてほしい企業
• 丁寧なヒアリングを重視したい企業
• 臨機応変な対応を重視したい企業
• クレーム一次対応を希望する企業
では、理想の電話対応が変わります。
しかし、その基準を共有しないまま運用を開始すると、
・「もっと親身に対応してほしかった」
・「緊急時はスマホに電話を転送してほしかった」
・「そこまで時間をかけなくても良かった」
・「とにかく折り返しにしてくれたらいいのに」
といった不満が生まれることがあります。
電話代行会社にとっては適切な対応だったとしても、企業が期待するレベルと異なれば満足度は下がってしまうのです。
報告してほしい内容の違い
電話代行サービスでは、受電後の報告品質も重要な評価ポイントになります。
しかし、「何を報告すべきか」の認識は企業ごとに異なります。
例えば、ある企業は「相手の社名と担当者名、電話番号がわかれば十分」と考えている一方で、別の企業は「何の用件だったのか」を知りたいと思うことがあります。
また別の企業では、「お客様が急いでいる様子だったのか」や「怒っていたのか、不安そうだったのか」といった温度感まで知りたいと考えることがあります。
この認識が共有されていないと、「聞いてほしいことを聞いてくれていない」「報告内容が足りない」という不満につながります。
実際には報告漏れではなく、企業と電話代行会社との間で報告基準が一致していなかっただけというケースも少なくありません。
役割認識の違い
期待値のズレが最も大きくなりやすいのが、電話代行の役割そのものに対する考え方です。
企業側は、「会社の一員として柔軟に判断してほしい」と考えていても、電話代行会社は「決められたルールに沿って正確に対応することが役割」と考えている場合があります。
例えば、「営業電話は断ってほしい」という依頼ひとつを取っても、すべて断ることを期待しているのか、「業務提携に繋がりそうなら報告してほしい」のか、「折り返しを希望されたら報告が欲しい」のかによって対応は変わります。
役割認識が共有されていないまま運用すると、企業側と電話代行会社側の双方に不満が残りやすくなります。
だからこそ、契約前や運用開始時には、「何をしてほしいか」だけでなく、「どのような役割を期待しているのか」まで丁寧に共有することが重要なのです。
なぜ期待値のズレは発生するのか

「言わなくても伝わる」が通用しない
長年自社で電話対応をしていると、
• どんな言葉遣いを好むのか
• どのような案件が重要か
• どこまで聞き取ってほしいのか
• 案件や顧客別の担当は誰か
が社内では当たりになっています。
しかし外部の電話代行会社にとっては、その「当たり前」は分かりません。
特に導入初期は、「そこまで説明しなくても分かるだろう」と思っていた部分ほど、認識の違いが発生しやすくなります。
例えば、受電時の名乗りは、社内では言わなくても分かる当たり前の共通認識ですが、普段から「ありがとうございます、〇〇事務所の△△(名前)でございます」と受電しているのか、「はい、〇〇事務所です」と受電しているのか、電話代行会社には共有されなければわからないのです。
求めるゴールが曖昧
企業によって電話代行に求めるものは異なります。
例えば、
• 電話対応時間を減らしたい
• 新規問い合わせを逃したくない
• クレーム対応を安定化したい
• 企業イメージを向上させたい
• 社員の業務を効率化したい
など、目的はさまざまです。
また、「電話対応時間を減らしたいから『とりあえず電話を取ってもらえればいい』」という状態で契約すると、後から「こんな対応がそっけないの?」「聞き取りができてない」「報告は一か所だけ?」と、不満がでてきます。
長く続く企業は最初の情報共有に時間をかけている

電話代行サービスを上手に活用している企業ほど、導入前後の情報共有に時間をかけています。
例えば、
• よくある問い合わせ
• NGワード
• 重要顧客の対応方針
• クレーム時の報告ルール
• 緊急連絡の判断基準
などを具体的に共有しています。
するとオペレーターも判断しやすくなり、企業が求める対応に近づきやすくなります。
契約後こそ定期的なすり合わせが必要
期待値のズレは、契約時だけでなく運用開始後にも発生します。
企業は日々変化しています。
• 商品が増える
• サービス内容が変わる
• 担当者が変わる
• 顧客層が変わる
こうした変化があれば、電話対応も見直す必要があります。
しかし、その情報共有が止まると、電話代行会社は古いルールのまま対応を続けてしまいます。
その結果、「最近は対応が合わない」という不満が生まれてしまいます。
だからこそ、
• 定期的な打ち合わせ
• 応対内容の振り返り
• 報告内容のフィードバック
を行うことが重要です。
期待値のズレをなくすコミュニケーションの極意とは?

企業と電話代行会社との期待値のズレを完全になくすことは難しいかもしれません。
しかし、ズレを最小限に抑えることはできます。
そのために重要なのが、「要望」ではなく「目的」を共有することです。
例えば、「もっと丁寧に対応してください」だけでは、人によって解釈が異なります。
しかし、「高齢のお客様が多いため、安心感を持っていただけるような、わかりやすい言葉を使いつつ丁寧な対応を重視したい」と伝えれば、電話代行会社も意図を理解しやすくなります。
また、「基本的には折り返しの対応でOK」ではなく、「緊急性のあるものやクレームに関してはすぐに対応したいので、担当者のスマホに内線感覚で転送して」と伝えることで、判断基準が明確になります。
つまり、
• 何をしてほしいか
• なぜそうしてほしいのか
• どんな結果を期待しているのか
まで共有することが重要なのです。
電話代行会社も人が運営するサービスです。
マニュアルだけでは伝わらない企業の考え方や価値観を共有することで、より理想に近い対応が実現しやすくなります。
電話代行は外注先ではなく「対話するパートナー」
電話代行サービスの契約解除理由を見ていくと、必ずしもサービス品質だけが問題とは限りません。
企業の「思っていたことが伝わっていなかった」という、コミュニケーションの課題が背景にあることも多いと言えるでしょう。
電話代行は企業の第一印象を担う窓口であり、顧客との接点を支える重要な存在です。
だからこそ、「任せる」だけではなく、「共有する」「対話する」「改善する」という姿勢が欠かせません。
企業と電話代行会社が同じ方向を向いて運用できたとき、電話代行は顧客満足度や企業価値を高める強力なパートナーになるでしょう。
まとめ

電話代行サービスとの契約解除は、必ずしも応対品質だけが原因とは限りません。
その背景には、企業と電話代行会社との「期待値のズレ」が存在しているケースが少なくありません。
そして、そのズレの多くは、コミュニケーションによって防ぐことができます。
特に重要なのは、「何をしてほしいか」だけでなく、「なぜそうしてほしいのか」まで共有することです。
つまり、期待値のズレをなくすコミュニケーションの極意とは、「要望を伝えること」ではなく、「目的を共有すること」なのです。
契約解除を考える前に、「自社の考え方や目的が十分に共有できていたか」という視点を持つことで、電話代行サービスとの関係はより良いものになるかもしれません。
目的を共有し、ポジティブなコミュニケーションを継続していけば、電話代行サービスは企業の信頼や顧客満足度を支える大きな力になるでしょう。



































