自然と考えが整理される

最近では新聞を読まない人も多いようだが、私は毎朝新聞を約30分かけて読むことを習慣にしている。スマホなどでニュースを見ることもあるが、それは特定の気になるニュースを読む時で、幅広いジャンルの中から今日はどんなニュースがあるのか知る時には、やはりいろんなニュースが一度に目に入ってくる新聞のような媒体が便利だ。いろんなニュースが目に飛び込んでくるので、本来興味がないようなことでも、時にはつい引き込まれて読んでしまうことも珍しいことではない。まあ、そんなことがあるから、今でも新聞は手放せずにいる。

その新聞で楽しみにしているコーナーの1つが、読者のお悩み相談室だ。毎回いろいろな読者の悩みが紹介され、それに対して専門家らがお悩みの解決策を答えている。いつも感心するのはその専門家の解決策ではなく、読者からのお悩み相談の方だ。もちろん、いろんな悩みがあることに驚くことも多いが、私はその悩みの内容がとても分かりやすく整理されて掲載されていることに感心するのだ。むろん新聞社の方で文章をいじっているのだろうが、口頭でお悩み相談を受けると、決して文章で紹介するようには理路整然と説明されるものではない。

同じ考えを繰り返すことを防ぐ

ここにまず文章で書くことのメリットがある。仕事をしていても、何か思いついたことや考えたこと、それにもちろん悩みもいろいろなことが頭に思い浮かぶものだが、頭で考えているうちは決してそれが整理されない。整理されないから、考えが途中で終わったり、せっかくのアイデアも忘れてしまったり、何で悩んでいるのか分からないままに気持ちだけが沈んだ毎日を過ごすことになったりしてしまう。文章にするのでなく、誰かに話すと良いと言われる方もおられるが、何か思いついた時にその話をするのに適当な人が周囲にいることの方が稀だ。

だから私は文章に書いてみることをお勧めしている。決して人に見せるわけではないので、気取った文章である必要はまったくない。それより書いたものを後から検討し直すためのものと割り切って、気楽に始めれば良いだろう。書かないで頭の中でずっと考えているだけだと、同じ考えを何度もぐるぐる繰り返すこともある。言葉にして外に出すことで、自分の考えを客観視できたり、考えの誤りに気づいたりして、次のステップに考えを進めることができるものだ。この「言語化する」というのは、「人間の持っている最も偉大な問題解決能力である」と言語学では語られている。

アナログの情報をデジタル化して考える

日本の伝統色の付けられた名前からは、その繊細で微妙な色の違いを感じ取る感性を知ることができる。例えば灰色だけを取り上げても、青鈍(あおにび)、鉛色、深川鼠、素鼠(すねずみ)、消炭色、錫色、薄墨色、藍鼠(あいねず)など、30色もある。それぞれの色は実際に見てみると、少しずつ色が変わっていく無限色のグラデーションだ。しかし、連続の色の変化をどこかで区切って、区切ることでその色を活用することもできるようになる。もちろん、その区切り方は絶対的なものではなく、見る人や文化によってどんな風にでも変わっていく。

このように言語化するというのは、アナログで連続的な世界をデジタル化することでもある。何かモノゴトを考える際に、このデジタル化する作業が役に立つのだ。これについてもっと具体的な例を上げると、「今日は何か良く分からないがどうも調子が悪く、何もする気が起こらない」と思っている日があると、本当にどうしようもなくて途方にくれる。しかし、「これは風邪を引いているのかもしれない」となると、薬を飲んだり、休息を取ったりするという対策ができる。さまざまな症状の集まりに、風邪という言葉を与えて扱いやすくすることが、言語化するということだ。

過去や未来の自分と相談

「相談したいけど周囲に適当な人がいない」と嘆く前に、書くことは、過去の自分や未来の自分と相談ができるタイムマシンのような行為でもある。私は5年ほど前から日記をつけているのだが、「5年前はこんなことがあって、こんなことを考えていたのか」と懐かしく思い出すのも楽しい。私の悩みの1つに忘れっぽいことがあるのだが、忘れてはいけないことをどこかすぐに読めるところにでも書き留めておけば、別にすべてを自分の脳内で覚える必要もない。私は文章を書く時は勢いで書くことも多いのだが、書いたものを人に見せる前にちょっと寝かせてから読み直すのも良いものだ。

このほかにも、目標を紙に書いて壁に貼っておくと、自分のやるべきことを指導してくれるコーチ的な存在を仮想的に作るのと同じ効果が得られる。願い事を書くことは、自分の望みをはっきりさせる効果や、手を動かして書くことで、望みをより強く自分の中に定着させる効果がある。また、ネガティブなことを書き出すことで、自分の考えが歪んでいて、正しくないことに気づいて楽になったりもできる。このように書くこと、文章にすることにはさまざまな効果が期待できる。日記をつけたり、メモを取ることにぜひ取り組んでみてはいかがだろうか。

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