とんがった先に喜んでくれる人がいるか

私は普段あまりテレビを見ないのだが、ある時ついていたテレビをふと見たとき、有名なお笑い芸能人が話した言葉が面白く感じた。

「僕らはとんがらないとダメなんです。丸いだけでは『いい人』だけで終わってしまう。『いい人』では商売にならないんです」。
この言葉は、何にでも当てはまるのではないだろうか。

続けて、「とんがった先に、喜んでくれる人が何人いるかが大切なんです。とんがった先に誰もいなかったら、単に変なおっさんで終わってしまう。とんがる方向を考え直さないとメシが食えないんです」と話していたのを聞いて、私の頭にすぐに思い浮かんだのは、ちょうどその日の昼間に会ってきたベンチャー企業の社長だった。

周りは見えているか

その社長はとても素晴らしい製品ができたと胸を張って自信たっぷりに話していた。
ユニークさは認めるが、では誰がその製品を欲するのか。それがまったく分からない。

否、その社長は、子どもたちがいると言い張るのだが、頭の中で考えただけのもので実際に試したわけでもなく、本当に子どもたちが欲しがるのか信じられない。

多分、この社長には周りが見えておらず、自分のしていることだけに頭がいっぱいなのだろうと振り返って考えた。

しかし、そんな人は多いのかもしれない。

私だって、自分のこととなると分からない。
芸能人のように周囲の反応がすぐに分かれば、それに対して行動もすぐに変えることができるのにと思う。

「世界初」よりターゲットを見よう

商品やサービスにとって、「世界で初めて」とか「最高の」とかの形容詞がつくとニュースにはなり易い。
だから、先の社長の下にも取材の申し込みがあって、実際に放送もされた。

だが、肝心のターゲットに響かないので売れないのだ。
「世界で初めて」でなくてもいいから、ターゲットに響くことが必要だ。

そんな時、技術の底辺が広い企業だったらまだ他の商品開発に生かせるだろう。
とんがった先を別の方に振り向けるのだ。

だが起業したての企業には往々にして、その底辺の力がないところが多い。
欲を言えば、自分は何者か、ととんがり方を言うのと同時に、もしそれがダメだった時、とんがり先を変えれるだけの底力を持っておく方が良い。

レスポンスの速さと底力

東京の有名なレストランで店長を務めるある方は、「コミュニケーションの達人はアクションが違う」と言っていた。

常に「自分は何者か」「何ができるのか」「どんな時に役に立つ人間なのか」をきちんと伝えらえているかと質問を投げかけると同時に、「フットワークとレスポンスの速さが仕事の命」と業績アップのコツを伝授する。

私も思わず鏡を見て考えた。「自分は何者か」、「何ができるのか」。


そして、相手と会う時も常に相手の反応を自分の鏡として見ようと考えている。
「役に立っているのか」と。しかし、これがなかなか難しい。
まあ底力の乏しい自分を思い知らされるだけに終わっていることが何と多いことか。