再挑戦へのスピードとタイミングが大切

ファーストリテイリングが展開するユニクロの海外店舗数が国内店舗数を上回ったのは2年ほど前。今では全体の業績を先導する海外事業だが、最初から順調だったわけではもちろんない。実際、最初の海外店舗となったロンドンでは失敗している。21店舗出店して3年の間に16店舗を閉鎖。120億円の損失を被った。


柳井正会長兼社長は、「ダメだと思ったらすぐに閉めた方がいいと思っているんです」と話している。
「そして、また再トライできるように準備する。我々の持つ資源は限られていますから、それをいかに有効に活用するか。そのためには、決断を速やかに行い、再び挑戦する。そのスピードやタイミングこそが大切なんですよ」とも話している。

新しいことは7,8割は失敗するのが当たり前

柳井会長兼社長は、「新しいことを始めたら7,8割は失敗するのが当たり前」と失敗を意に介する風はない。
あのコンビニ業界でも、セブンイレブンは今年度新規出店が1600店に対して、閉鎖店舗は900店を計画。純増数は700店舗で、850店舗増やした昨年度に比べて2割ほど減る。


出店もあれば閉店もするのは当たり前だ。業界では今後ますます立地などの出店の基準を厳しくすることで店舗ごとの採算を高めていく方針と伝えられている。たとえ閉店のようなマイナスの情報であっても、そこに至った経緯をいち早く分析して、次の出店に活かすことが大切なのだ。

まずは失敗を全面的に受け入れること

ところが私たちは、マスコミの伝え方にも問題があると思っているが、閉店のようなマイナスの情報に対して無理やり意味付けを行い、必要以上に重く受け止めがちなように感じる。

だからか、少しの失敗に対しても、それを隠そうとする意思が働く。しかし、むしろ失敗に対して早く回復するには、その失敗した事実を全面的に受け入れることにある。

成功する人に共通するのは、失敗をチャンスに捉える思考を持っていることだ。失敗をしたからもう終わりと捉えるのではなく、「次の成功への足掛かりができた」、「今までにない経験ができた」、「前の自分より前進した、成長した」と、失敗した事実を前向きに受け止めることが何より肝要だ。

失敗は成功への前段階

失敗は失敗ではなく、あくまで成功へ向かうためのプロトタイプであり、前段階なのだと考えれば良い。言うまでもなく、失敗してしまったと停滞してしまうよりも、完成型へ向かっているプロセスの中にいると考えた方が建設的だ。いわば楽観的な思考が大切になってくる。

そして、二度と同じ失敗をしないために、失敗を分析しなければならない。失敗の原因を正しく理解し、その記録を残すことだ。失敗しない人などいない。それを隠すことに汲々としたり失敗に怯えるのでなく、むしろそれを楽しむぐらいの余裕を持ちたい。