人のやる気はお金で買えない

今や人手不足の真只中。いずれの会社においても人手の確保は頭の痛い問題だろう。
増してや知名度で劣る中小企業、分けても起業したばかりの企業にとっては人手が確保できるかどうかが事業の成否を占うといっても過言ではなくなっている。

だからといって、人手の確保を時給をアップすることだけに頼っては問題をさらに悪化させることになりかねない。

「人のやる気をお金でしか判断できない」と受け取られると、働くことすべてがお金のためになってしまう。会社のため、顧客のため、周囲の人たちのために働くことの動機もすべてお金に取って代わられる。
その結果、より高い時給を出すところに従業員は流れていくことになる。

成果主義の失敗を繰り返すな

かつて成果主義がもてはやされた時代があった。

金銭が労働の大きな動機付けの要因であることは間違いないのだが、金銭的報酬だけにしてしまった瞬間に、これまで会社のためだったり、仕事が面白くて働いていた人たちが、「結局お金で買われているのか」と考えや行動を受け止めるように変わっていったのだ。

それだけなく、将来性といった長期的な貢献やプロセスがほとんど評価されない。後につながる商品や技術を開発したとしても目標が達成できなかったり、売り上げが低かった場合は評価も低い。そのため自主目標を設定しても短期的かつ達成しやすい内容になってしまったのだ。

ノルマのきつさは本質的な問題じゃない

同じように、今を取り巻く働き方改革の中、仕事のノルマに対する問題が長時間労働の問題と合わせていろいろ取りざたされている。

いわゆる「ノルマがきついから長時間労働につながり、社員も集まらない」云々といった議論だ。それに対して、ノルマの決め方を見直したり、無くしたりする企業も現れている。しかし、本当にノルマがきついことが問題なのだろうか。

かつてある海外の自動車販売ディーラーで、次々と営業マンが辞めていく事態になった。
そのディーラーを管理する会社は早速その原因を探ることになった。

その結果、「どうもここ1,2年のノルマがきつ過ぎたのではないか」という結論になった。だが、その後辞めた社員にも詳しく話しを聞いた結果、実はそうではないことが分かった。

会社の目標の幅広い共有を

「目標は高くても良いんです。ただ、辞めようと決心したのは、苦労して目標を達成しても、『それであなた達も稼げたのだからいいんじゃないの』としか認めてもらえないからなんです。もっと苦労話を共有したり、みんなで喜んだり、これからの夢を話し合ったりしたいのに、それがなかった。反対に目標に達成しなかった時はもうボロクソに言われる。それが我慢できなかった」という声があった。


人の動機付けをどのうようにして、目標の達成を図るか。
これは会社だけでなく学校や家庭でも重要でかつ難しいテーマの一つだ。
やはり「急がば回れ」ではないが、それぞれの会社が何を目指すのか従業員の中で幅広い共有が必要になっているのではないだろうか。