雰囲気に現れる社風

会社に一歩足を踏み入れると、何だか気まずい雰囲気が漂っている、あるいは、雰囲気が暗い、といった経験は、外回りの営業をしている人たちにすればよくあることだ。会社の雰囲気というのは、その会社の社風を反映していることが多い。就職活動中の学生はそんな職場に足を踏み入れることなく、別の会議室などに通されることが多いのは、せっかくその会社の社風を知る良い機会なのにもったいない。しかし、そんな何も知らない新卒の学生も、ひとたび入社すると、その会社の社風に自然に染まってしまったりするのだから面白い。

それが明るい会社で、新入社員が明るくのびのびと育つのならいいが、その逆なら堪ったものではない。その暗さはどこから来るのか。いくつか共通点があるように思う。

まず一つ目は、社員同士が仕事以外に互いのことを知らない、というものだ。社員同士が普段から仕事の話しかしないため、極めてドライな人間関係になってしまっている。「他人は他人」という割り切った関係に陥っている。

それから二つ目は、会社に対する不満がたまっていて、それが解決できないと思っているか、皆が諦めているような状態にあるものだ。業績の悪い会社に多い。「会社に対する不満」はどんな会社にも多かれ少なかれ社員は抱いているものだが、暗い会社の場合は、その不満が愚痴になっている。

不満と愚痴の境

不満と愚痴は何が違うのかと思われるかもしれないが、不満というのはその字の通り「満足しないこと」だが、そこにはまだ「問題意識」が隠れている場合がある。給料が安いと不満を口にする傍らで、利益を出せていない会社をどうにかしなければならないという危機意識を訴えていることが多い。その場合、そういう不満を言う社員をそれなりの責任ある部署に就かせると、頑張り出す可能性もある。散々不満を言っていた社員が変わるわけだから、周囲に対する影響も大きい。

これに対して、愚痴は、言っても仕方のないことを言って嘆くだけで終わりなのだ。だから何の生産的なことがない。給料が安いといって愚痴を言っているのは、そのことに対してもうあきらめていることを指していて、それに対するリアクションをまったくとろうとはしないことを指す。これは周囲に悪影響を及ぼすだけだ。いわば「腐ったミカン」というわけだ。念のために言うと、腐ったミカンを1つでも放置しておくと、周囲のミカンまで腐り出すというものだ。この場合、問題が解決できないとあきらめさせる要因が会社側にないかどうか検討してみる必要がある。

若手の意見も尊重すべき

会社が暗くなる原因の三つ目は、若手社員の意見が通らないことだ。このことを年配の社員はどう見るだろうか。「若い頃は意見が通らなくて当たり前」、「自分も我慢をしてきた」などと肯定していないだろうか。しかし、今の世の中、若手と年配の社員との間のコミュニケーションはこれまでと同じであっては、もうやっていけないことにどれだけの人が気付いているだろうか。実際、パソコンやネット、SNSなどに物心ついた頃から親しんできた若者に年配者は教えてもらわなければならないことも多いはずだ。若手は年配者から一方的に教えられる存在ではもうないのだ。

すでに米国では若手であってもメンターとなって、年配者をフォローすることも徐々に増え始めているという。無論、年を重ねなければ分からない技術や習慣などに対しては、まだまだ年配者が指導的な立場に立つことが多い。しかし、それもロボットに取って代わられる時代だ。年配者はもう年配であるが故に指導的な立場に立たなければならない時代ではないのだ。そう考えると、やはり若手の意見が通らない会社というのは、先行きが思い遣られる。会社の雰囲気が暗くなるのも当然なのだ。

諦めていた心を目覚めさせる

会社の雰囲気を変えるための方法を書いた本は、巷にあふれている。そこに曰く、若手や女性社員主催のレクリエーションを開くであったり、社内の不満を集めて改善策を社員から募集するであったり、普段言えない感謝の気持ちが日々交代で発表するであったり…。それらを試みるのも、確かに何もしないよりはいいのかもしれない。しかし、効果が出る前にすぐにまた元の木阿弥になることはないのか。

そうならないために、会社はまず本気で問題に対応しようとしていることを社員に見せなければならない。「解決できない問題はない」ということを簡単な事例から積み上げていくのがベストではないか。根本的には業績の改善を見せることだろう。やはりここから逃げていては、社員から信用はされない。そうはいってもいきなり利益を前年度で○倍にせよと言っているわけではない。小さなところから、新規受注が少しづつ増えているとか、経費の削減が目標に近づいているとかを積み重ねることで、諦めていた心を徐々に目覚めさせていくのだ。会社に対する不満はなくならなくても、愚痴を無くすことで、会社の雰囲気はまったく違ったものになるはずだ。

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